つくしこどもクリニックの予防接種システム
つくしの予防接種体制
つくしの予防接種の仕組みについて問い合わせが多いので、プロの方を対象に詳細をを公開します。専門用語は最低限度にとどめましたので、一般の親御さんもご覧頂ける内容になっています。

予約の受付
予約はクリニック窓口にて電話もしくは対面で受けています。診察の予約と異なり、あえてコンピューター受付はしていません。理由は①つくしの接種対象は複数地域にまたがり、接種について地域毎のローカルなルールが存在すること、②予約にあたっては過去の接種履歴や集団接種の予定などを総合的に判断して、どういうスケジュールがベストなのかを判断する必要がある ためです。コンピュータ対応ではこういったきめの細かい対応は不可能です。つくしでは専門のスタッフが保護者と相談しながらそれぞれのお子様に合ったスケジュールを組み上げることにしています。

予約の管理
受付後の処理は市販のソフトやオリジナルのソフトを組み合わせ、PCをフル活用しています。
step1
予約の管理は全て一般診療の予約ソフト(テレリザーブ)に手入力。誰がいつどのワクチンを接種する予定なのかが、一般診療も含めて把握できます。予約は原則として、火曜と金曜の13:30-15:00の予防接種外来で受けていますが、この時間に来院できない場合などは、8:40や15:40など毎日の診療開始直前に、それでも都合が悪い場合は普通の診療時間枠でも接種しています。よって、結局どの時間帯でも予防接種を受けることになるので、一般診療も念頭に置いて予約をとらねばなりません。他の多くの施設同様、予防接種だけの予約台帳を用意して管理するのが一番簡単なのですが、保護者の方のニーズに合わせるために複雑な管理方法をとっています。どういったシステムをとっても入力時点で、人為的なミスが発生する可能性がありますが、これをチェックするために、ファイルメーカーでオリジナルのソフト(FM1)を開発し、人為的なミスを0にしています。
step2
効率よく接種を進めるためには、入念な事前準備が必要です。先ず翌日に必要なワクチンの種類と本数を把握します。ワクチン予約の台帳をPC管理している施設も多いでしょうが、接種本数の管理は目視の手作業でカウントせざるを得ません。一昔前に比べると同時接種が普及し多種多様のワクチンが混在した予約になっていますので、一定数を超えると数えるのも一苦労です。ワクチンの誤接種がよく問題になりますが、誤接種防止の第一歩は完璧な数の把握である、ことはあまり知られていません。つくしでは、テレリザーブに入力されている翌日の予約簿からcsv経由で予防接種のみのデータを抽出してオリジナルソフト(FM2)で簡単かつ完璧に把握しています。
step3
次に、実際の予約に間違いがないかを前日にチェックを入れます。予約して来院はされたけど、よくよく母子手帳と照らし合わせると、前のワクチン接種からの期間が足りなかったので接種できずにお帰り頂くといったケースはどの医療機関でも経験されます。日本の現行のワクチン体制では、保護者が持っている母子手帳情報を医療機関でリアルタイムに把握することが出来ないので、ある程度は致し方ないとは思います。そのまま間違って接種せず、直前でハネたその病院はむしろ立派だと考えることも出来ます。つくしでは、前述のFM2のデータをさらに解析して、過去の接種履歴も参照した上で、正しい予約なのかどうかをチェックするオリジナルソフト(FM3)をを開発しました。毎日、手作業で翌日の予約をチェックされている良心的な小児科ドクターも多いですが、目視で完璧に把握できるのは数名程度が限界です。

接種当日
窓口に来院されたら、テレリザーブと電子カルテ(ダイナミクス)の受付テーブルにチェックを入れます。受付情報はリアルタイムで診察室や処置室で把握され、実際にワクチンをつめる作業を開始します。接種当日は、一人の接種者に対して複数のスタッフが同時並行で様々な処理を行います。受付にて母子手帳と問診票を預かり、予約の種類と受け取った問診票に間違いがないか、また問診票に不備がないかをチェック。接種後の注意点その他資料をお渡しする。診察室にて母子手帳と照らし合わせて、接種間隔に間違いがないかを最終的にチェック。問診票の不備も併せてチェック。本人確認は必須。まだ未接種のワクチンがあれば、接種を勧奨。接種は、1ワクチン1専用トレーで準備し接種直前に、独自開発のワクチン管理ソフト(FM3)では接種内容と本数、接種間隔に間違いがないかのチェック、未来の予約などが一見で分かるので、確認後に医師が接種。会計にて接種後、母子手帳に必要事項を記入し、会計にて母子手帳を返却。予約があれば次回の予約を受ける。

接種後
問診票を種類ごと地域ごとに分類しそれぞれの数を把握し、エクセル管理簿に記録。接種数と問診票の数が一致しているかどうかは、電子カルテ(ダイナミクス)をカスタマイズして接種一覧表を出し、照合。診察終了後、電子カルテのワクチン情報をODBC経由でFM3に取り込んで管理。各市町村への請求はオリジナル開発のFM4を使用して請求にかかる手間を大幅に削減。

予防接種管理ソフト(FM3)
電子カルテは便利で何でも出来そうに思えますが、過去記事の閲覧は苦手です。予防接種のようにいくつもの情報が点在する場合、種類ごとに時系列で把握することは不可能に近いです。手元に貴重な情報があるにもかかわらず、利用できずに無駄に眠らせてしまっている状態です。
そこで、つくしでは母子手帳がいつも手元にあるように電子情報を活用できないものか、と予防接種管理ソフト(FM3)をオリジナル開発しました。電子カルテを開くと、1クリックで該当者のワクチン履歴が母子手帳のように表示されます。また、次の接種がいつなのかも同時に表示し、接種が出来るワクチンはハイライトされますので、診察室で次に必要なワクチンをご案内できます。絶えずその子の予防接種スケジュールを頭に置いた状態で診察できる訳です。加えて、兄弟姉妹の履歴も1クリックで開きますし、開かない状態でも兄弟姉妹で必要なワクチンがあれば、ハイライトされますので、併せてご案内できます。仮に毎回家族分の母子手帳を提示して貰っているとしても、ワクチンの種類が多いので母子手帳自体の情報がかなり見にくいので、解析して頭で整理するのにかなりの労力が必要となります。また、このソフトから、受診歴のある方が1才になったらMRワクチンの案内、3才になったら日脳ワクチンの案内、年長さんになってのMRワクチンの案内、忘れられがちな四混や日脳の追加接種の案内を葉書で出すことが可能で、積極的に勧奨することで接種率の向上に貢献できます。

■予約システム
株式会社 アイ・ティ・エス
予約システム「テレリザーブ」を使用しています。   

■電子カルテ
株式会社 ダイナミクス
電子カルテ「dynamics」を使用しています。

■診療システム
office KLM.
FileMakerで作成されたデータベースを多数使用しています。